Webアプリの集客は、ストア内検索という入り口が無い分、検索エンジンで出会う設計を自分で作ることになります。世に出ている集客の情報はApp StoreやGoogle Playを前提にしたものがほとんどで、そのままは使えません。ここで扱うのは、ストアを持たないWebアプリのほうです。実際に手を動かしている個人開発者向けに、優先順位の高いものから順番に書きます。
Webアプリにはストア内検索という入り口がない
App Store や Google Play のようなストアにアプリを置くと、ストア内の検索やカテゴリ経由で見つけてもらえる可能性があります。ある種、待っているだけでも人の目に触れるルートがあるということです。一方でWebアプリは、インターネット上にある無数のページのひとつでしかありません。公開した瞬間の訪問者は基本的にゼロで、そこから先の経路は自分で作るしかないというのが、まず押さえておきたい前提です。
公開して動くところまで見届けると、そこで一区切りついた気持ちになります。ですが検索エンジンから見れば、公開されたばかりのWebアプリは無数にあるページの新参者でしかありません。数字が動き始めるまでに、経路を作る作業自体をリリース後の仕事として組み込んでおくことが出発点になります。
ストアがあるアプリ全般の集客の考え方は、別の記事で優先順位つきに整理しています。Webアプリの場合はその前提が使えないので、順番はおおまかに「検索エンジンからの入り口を作る」「コミュニティやSNSで知ってもらう」「一度来た人が戻ってこられる形を用意する」の3段階になります。以下はこの順番で見ていきます。
主戦場は検索エンジン、狙うのは周辺ページ
ストア内検索という装置がない以上、Webアプリにとって最大の入り口になるのはGoogleやBingの検索結果です。ただし狙うべきは、アプリ本体のページそのものではありません。「電卓」「変換」のような道具の名前だけで検索する人は多くなく、検索エンジンからの流入を本体ページだけに期待するのは難しいのが実情です。
呼び水になるのは、「使う人が困っている言葉」で書いた使い方ページや解説記事です。たとえば「◯◯の変換のやり方」「◯◯ができない」のように、ユーザーがつまずいた瞬間に検索するであろう言葉に応えるページを、アプリ本体とは別に用意しておくイメージです。検索エンジンは、道具そのものより先にこうした周辺ページを見つけてくれることが多くあります。
アプリ本体だけの1ページで構成されたサイトは、検索エンジンから見て手がかりが少なく、不利になりやすい構図があります。使い方・よくある質問・活用例のようなページを少しずつ増やしていくことが、遠回りに見えて一番効くやり方です。順位が動き始めるまでには時間がかかるので、焦らず積み上げる前提で見ておいてください。
2番目の柱はコミュニティとSNS
検索エンジンに次ぐ2番目の柱は、コミュニティやSNSでの露出です。ここでの立ち回り自体はストアアプリの集客と大きく変わらないので、ここではWebアプリならではの違いが出る部分に絞って見ていきます。押さえておきたいのは、Webアプリならではの違いが1点だけあるということです。
その違いは、URLをそのまま貼るだけで、その場で試してもらえることです。ストアアプリのように「ストアで検索して、インストールして、開く」という手間がなく、紹介する側もされる側も一歩少なくて済みます。この手軽さは、コミュニティやSNSでの反応の速さにそのまま返ってくる部分です。
一方で、その手軽さは裏返しでもあります。すぐ試せるぶん、期待と違えばすぐ閉じられます。紹介するときにアプリの名前だけを出すのではなく、どんな場面で役に立つのかを一言添えてリンクを渡すほうが、開いた人の期待と中身がずれにくくなります。
Webアプリの強みと弱点を集客に活かす
Webアプリの強みは、インストールという工程を挟まずにその場で試せることです。ログインや会員登録を必須にしなければ、リンクを踏んでから実際に触るまでの摩擦がさらに下がります。この「開いてすぐ触れる」感覚は、ストアアプリにはなかなか出せない強みです。
URLひとつで機能が完結するので、紹介や共有のされやすさもストアアプリより軽い立て付けになります。ブログ記事やSNSの投稿からそのままリンクを踏んでもらえるので、集客の経路を増やすほど直接効果につながりやすいという特徴もあります。
一方で弱点もあります。ホーム画面にアイコンが残るストアアプリと違い、一度タブを閉じると再訪のきっかけが残りません。ブックマークや、ホーム画面への追加を案内しておくと再訪のハードルを下げられますが、こうした機能への対応は環境によって異なるため、案内はあくまで補助的な位置づけにとどめておくのが無難です。
計測はストアの数字がない分、自分で用意する
ストアアプリならダウンロード数や順位という共通の物差しがありますが、Webアプリにはそれがありません。アクセス解析を入れて、まずは訪問数を自分で把握するところが計測の出発点になります。ここを飛ばすと、何をやっても効いているのかどうかが分からないまま作業を続けることになります。ページを増やしたりSNSに投稿したりする前に、数字が見える状態を先に作っておくほうが、あとの判断がずっと楽になります。
見るべきはそれだけではなく、来た人のうち実際にアプリを使い始めた割合です。訪問は増えているのに使われていないなら、入口の説明やファーストビューに問題がある可能性が高いです。そもそも訪問が増えないなら、呼び込みの経路そのものが足りていないというサインで、同じ「伸びない」でも打ち手がまったく変わってきます。
この2つの数字を分けて見る習慣がないと、「集客がうまくいかない」という感覚だけが残り、次に何を直すべきかが分からなくなりがちです。数字を分解しておくことが、遠回りなようで一番早い改善の入り口になります。
Webで需要が見えたら、アプリ化という選択肢も出てくる
Webアプリとして手応えが出てきたら、同じアイデアをストアアプリとしても出すかどうかを考えるタイミングが来ます。ただし、Webで手応えがあったからストアでも通用するとは限りません。判断材料になるのが、そのアイデアがApp Store側でどれくらい検索されているかという数字です。
Web版のアクセス解析で分かるのは、あくまで自分が集めてきた人たちの反応です。一方でストア内検索の需要は、まったく別の母集団の話になります。両方を見比べて初めて、そのアイデアがどれくらいの規模の需要を持っているのか見当がつきます。
AppLupeのようなASOツールを使うと、キーワードごとの検索需要や関連キーワードを、メール登録だけ(カード不要)で毎日3回まで無料で調べられます。Web版で確かめた需要と、ストア側の検索需要を突き合わせておくと、ストア版を出す価値の見当がつけやすくなります。
よくある質問
Q. Webアプリの集客は何から始めればいいですか?
最初の一手は、アプリ本体ではなく周辺の説明ページを作ることです。使い方や困りごとに応える記事をひとつ用意し、検索エンジン経由の入り口を作るところから始めると、SNSでの発信にも使い回せます。
Q. SNSで宣伝すればWebアプリは広まりますか?
きっかけにはなりますが、それだけでは長続きしにくいです。投稿を見た瞬間はアクセスが伸びても、時間が経つと流入が落ち着いてしまうためです。検索エンジンからの安定した経路と組み合わせて考えるのが現実的です。
Q. Webアプリでもホーム画面に追加してもらえますか?
ブラウザやOSの機能を使えば、ホーム画面への追加は可能です。ただし対応状況は環境によって異なるため、必須の導線としてではなく、再訪してもらうための補助的な案内として用意しておくのがおすすめです。
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